ニャンともたまらニャイ「ネコ女将」がいる温泉宿 コロナ禍でも大人気
山形県天童温泉松伯亭あづま荘には、2018年楽天トラベル看板猫ランキング1位に輝き、NHK総合「もふもふモフモフ」にも登場したスター猫がいる。
“ねこ女将”まいちゃんだ。
「老若男女、誰でも別け隔てなく触らせてくれるがまいちゃん流のおもてなしです」と、若旦那・高橋和也さんは語る。
そんなまいちゃんも、やはりコロナ禍による影響を受けている。
「現在は感染対策として、まいちゃんへの面会は予約制です。また、まいちゃんに触る際は手袋をしていただいていております」(高橋さん)
ただ、お客さんの反応はとても温かいという。
「『コロナが収まって、手袋なしで触れるようになったらまた来るね』と、励ましてくださるお客様もいらっしゃいます。また『コロナで心が疲れていたので癒された』と言って帰られるお客様がとても多いです。何より、まいちゃんをめぐるSNSでのやり取りや口コミ等で、苦境に立たされている我々観光業や旅館業への応援メッセージをくださる方もたくさんいます。そのお声を裏切ることのないように、私達も頑張らなくてはと自身を鼓舞しています」
まいちゃんの近況を訊くと、
「いまは旅行を控える傾向にありますので、まいちゃんも“ねこ女将”としての仕事は少なくなりました。その影響か、体重は6キロに届きそうです。(笑) でも、その丸まるとした姿はお客様には好評で、『コロナ太り~』と喜んでおられます」(高橋さん)
“ねこ女将”まいちゃんがお客さんの前に登場する時には、いつも箱に入っている。まいちゃんお気に入りの箱もたくさんあるそうで、まいちゃんファンの間では、“お箱コレクション“として知られている。
まいちゃんは、時に半纏をまとい、クリスマスの時期にはサンタ姿になり、いまは涼しげな浴衣を着用している。
いつ何時も、お客さんを和ませ、笑顔にさせる。
チャームポイントは「くりくりお目め」と「ふわふわの白いお胸」。
上品な立ち振る舞いは旅館の女将そのもの。
品種は日本キジシロで、ごろごろと喉を鳴らしてくれるのも、愛される秘密か。
ねこ女将・まいちゃんの5つの功績
その1 東日本大震災後のピンチを救ってくれた
まいちゃんがあづま荘にやって来たのは、天童の舞鶴山で高橋さんに拾われた2010年のこと。その後、女将と暮らすようになり、高橋家を癒してくれていた。
2011年の東日本大震災以降、たまたま女将がまいちゃんの記事をブログに投稿すると読者が増えた。そのブログの愛読者の反応を見て、2013年に“ねこ女将”としてデビューすると、瞬く間に人気を博し、まいちゃん目当てにお客さんが来てくれるようになった。結果、東日本大震災後の旅館のピンチを救ってくれたことになる。
その2 旅館の知名度を上げてくれた
2015年じゃらん宿猫ランキング1位、2016年楽天看板猫ランキング4位、2017年楽天看板猫ランキング2位、そしてとうとう2018年楽天看板猫ランキング1位に輝いた。この他、数々の全国放送にも出演し、スターダムにのしあがる。これにより、「あづま荘」の知名度が上った。創業以来初めてのことだという。
その3 旅館で難題の「人材確保」に貢献
まいちゃんの存在が広く知られるようになってから、あづま荘が人材を募集すると、「まいちゃんと働きたい」と、猫好きの人が多数応募してくれるようになった。人材確保が常に課題の旅館にとって、有難い事態である。事実、現在のフロントスタッフはまいちゃん目当てに就職した。
その4 若女将との縁結びに一役を担う
なんと、若旦那と若女将とのご縁を結んだのもまいちゃん。「猫好きだった妻は、『まいちゃんに会いたい』と、遊びに来てくれました」。(高橋さん) これが功を奏し、若旦那は若女将を射止めたという。
その5 まいちゃん人気にあやかって、コロナ禍でもWebは盛況
コロナの影響で宿泊客が激減したものの、まいちゃんをコンセプトにしたWebサイトは好調。まいちゃん関連グッズをWebショップで気軽に買えるのが人気の秘密か。
筆者は今年の1月末にあづま荘を訪ねた。猫に慣れてない私でも、まいちゃんは人見知りせずに抱かせてくれた。まだ全く先行きが見えなかったコロナ禍において、まいちゃんとの出会いは、温泉に入ることと同じくらいに心を潤してくれものだった。
ありがとう、まいちゃん。