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ドラフト1位ルーキーが迎えた夏。ホークス吉住晴斗の成長と課題

田尻耕太郎スポーツライター
ドライチ新人の吉住投手(筆者撮影)

7月下旬以降、投球内容がガラリ

 22日の徳島戦(3軍定期交流戦、タマスタ筑後)に先発したドラフト1位ルーキーの吉住晴斗。

 1年目のここまでは3軍での登板のみ。そして、この試合前までの成績は16試合2勝5敗、防御率5.77と正直パッとしない数字が並んだ。しかし、7月後半以降、その内容は大きく改善されていたのだ。

7月22日

楽天戦    5回 3安打 1三振 2四死球 1失点

7月29日

徳島戦    5.2回 3安打 8三振 3四死球 4失点(自責3)

8月5日

愛媛戦    6回 5安打 2三振 2四死球 1失点

8月14日

JR東日本戦  8回(完投) 7安打 3三振 2四死球 2失点

4試合計 24.2回 18安打 14三振 9四球 8失点(自責7) 2.55

上は5月の投球。上半身が反り返っており力が入り過ぎているのが分かる。下は8月22日の徳島戦(いずれも筆者撮影)
上は5月の投球。上半身が反り返っており力が入り過ぎているのが分かる。下は8月22日の徳島戦(いずれも筆者撮影)
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 試合日程の都合もあるが、先発ローテをしっかり守っている。先発として最低限のゲームメイクをし、8月14日のJR東日本戦(釧路)では敗戦投手ながらプロ入り後初めての完投(8回2失点)を記録した。

「変化球でストライクが取れるようになってきたのが大きいと思います」

 投球フォームが変わってきたと自覚する。「今の方がゆったりしている」。日々のトレーニングで体幹や下半身が強化された成果が表れている。

課題は「160キロ」を目指すストレート

 しかし、迎えた22日の徳島戦。安定してきたはずのコントロールが定まらずに苦しい投球になった。4回までは1失点と粘ったが、5イニング目に大きく崩れた。先頭に三塁打を浴び、続いて四球を出すと2番の福田に2点三塁打を打たれた。その後も失点して、なおも2死三塁で球斗に左越え2ランを許した。一挙5失点。何とか6イニング目まで投げたが、球数が106球に達したこともあり6回6失点で降板した。結局負け投手となった。

「今日はバラバラでした。特にストレートが前回とは違った」

 その直球。鶴岡東高校時代は最速151キロを誇り、ソフトバンクへの入団会見では「160キロを目指したい」と語っていた。しかし、この日は最速140キロどまりで、ほとんどが130キロ台だった。

「フォームがゆったりしてから、直球のスピードが遅くなっている。ここが課題です」

 入来祐作3軍投手コーチも「変化球でしっかりストライクを取るのは、若い投手ではなかなか出来ないことだけど、今の真っ直ぐでは…」と厳しい表情を浮かべた。

ドラフト1位での入団だが、球団は超がつくほどの素材に惚れ込んでじっくりと育成する方針の上で吉住を指名した。今、結果が出なくとも、それは成長痛のようなものとも言える。もちろん悠長に構えてのんびり過ごす時間などプロ野球選手にはないが、地道なトレーニングや研究を継続していってほしい。急がば回れ、だ。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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