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「評判の良い国ランキング」は上昇も…韓国と評判上位国との“意外な因縁”とは

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
(写真:アフロ)

世界でもっとも“評判の良い国”はどこか。

そんな疑問解消の一助となる、ひとつの調査結果がある。アメリカのコンサルティング企業「Reputation Institute」が発表した世界国別評判ランキングだ。

このランキングは、経済規模上位55カ国が対象で、環境、暮らしの質、社会の安全、政府の透明性、経済状況などの項目があり、それらを合算して国をランク付けしている。

今年の世界国別評判ランキングによれば、世界でもっとも評判の良い国はスウェーデンだった。点数は81.7点で、2017年の同じ調査の3位から2ランクアップして1位に輝いている。

日本は、昨年の12位から4ランクアップした8位(77.7点)となり、世界トップ10に入った。

一方「国家ブランド指数」をはじめ、この手の世界ランキングに何かと敏感になる韓国は、31位(58.5点)という評価だった。

少々乱暴な振り分けをすれば、55カ国中31位では「評判が悪い国」に大別されることになるかもしれない。ただ、それでも「昨年35位から4ランクアップ」(『中央日報』)したのだから、まずまずだろう。

興味深いのは、今回の世界国別評判ランキングの上位国と韓国には近年、さまざまな因縁があることだ。

1位スウェーデンにモラルなき行為?

ひとつは、1位にランクインしたスウェーデンである。つい最近には「スウェーデンに戦争を仕掛けましょう」といった穏やかではない“国民請願”があった。

韓国の国民請願とは、大統領府ホームページに設置されたもので、国民がオンラインで政府に請願できるサービスだ。なかには、スウェーデン発祥の家具チェーン店IKEAの「不買運動」や「韓国撤退」を呼びかける請願もあったという。

スウェーデンと韓国はロシアW杯グループリーグ初戦で対戦し、スウェーデンが1-0で勝利した。敗れた韓国の一部の人々がその腹いせや憂さ晴らしに暴言を書き込んだようだが、相手国にしてみれば気持ちの良いものではないはずだ。

(参考記事:選手や主審への“SNSテロ”にIKEA不買運動…一部の韓国サポのモラルなき行為に喝

世界国別評判ランキングは2位フィンランド(81.6点)、3位スイス(81.3点)、4位ノルウェー(81.1点)、5位ニュージーランド(79.7点)と続いている。北欧が強い印象だ。

そして6位オーストラリア(79.6点)、7位カナダ(79.2点)、8位日本、9位デンマーク(76.7点)、10位オランダ(76.1点)までがトップ10入りを果たしている。

たまたまかもしれないが、スウェーデンだけでなくトップ10入りした国のなかにも、韓国との因縁がある国がある。

「女性観光客にとって危ない国」

例えば6位に入ったオーストラリアは近年、韓国に対するイメージが悪化している国のひとつとされている。

というのも、オーストラリア国内で行われた「女性観光客にとって危ない国」ランキングのトップに、インドを抜いて韓国の名前が挙がるようになったというのだ。

(参考記事:外国人女性の被害続々…“女性観光客にとって危ない国”に落ちた韓国

また、7位に入ったカナダも、以前イギリスBBCが行った「国家イメージアンケート」で、韓国否定派が41%と高かったことが知られている。

世界一の“嫌韓国家”とされるドイツの否定派65%に比べればまだマシだが、韓国に対する印象はそれほど良くない国といえるかもしれない。

(参考記事:韓国否定派が65%!! なぜドイツは世界一の“嫌韓国家”なのか

今回発表された世界国別評判ランキングは、2018年3月から2カ月間、全世界5万8000人を調査した結果だという。

韓国にとってこの期間は、平昌五輪直後や南北首脳会談開催などで、世界的な注目度が著しく上がった時期でもある。それでも55カ国中31位だったということは、海外のほかの国から韓国にはまだまだ改善しなければならないことが多いと考えられていることへの表れでもあるだろう。今後も厳しい評価が続くことを示唆しているとも言えなくもない。

「31位でも高いくらい」

実際、今回発表された世界国別評判ランキングの報道に触れた韓国ネットユーザーたちは、「31位でも高いくらい」といった反応も見せていた。

また、「日本の8位はちょっと高すぎるのでは」「他の国はわからないが日本は政治家のスキャンダルも多いのに」と、自国の順位よりも日本の高評価に対して疑問符を投げかける声が少なくなかった。

同じ北東アジアとして意識してしまうのは仕方ない部分でもあるが、日本のことを指摘するよりも、「世界が韓国をどう見て評価しているか」ということに気を払い、改善すべきことは改善していくべきではないかと思う。危機や問題に直面したとき、ダイナミックに改革を進める底力が韓国にはあると思うからこそ、余計にそう思う。

いずれにしても今後、韓国の評判が上がっていくのか注目と期待を寄せたい。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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