補足極右伸長といっても、各国では3割程度の得票に留まり、国政を支配する立場にはない。ただ、既存の保守政党を「乗っ取る」場合は別で、単独政権の国では党内の反EU派に譲ったキャメロン政権でのブレグジット、共和党内に入り込んだトランプ氏など、大きな番狂わせが生じる。 比例制をとるオーストリアでは連立が前提となりつつあるが、前回の国民党と自由党の連立は長続きしなかった。今回も協議が妥結すれば、自由党が主導権を得て、首相も輩出することになり、さらに前回の失敗の学習から、より強固なものになるだろう。そうすると国民党の存在感は薄まり、ますます自由党が有利になるという状況が生まれる可能性が高い。事態は深刻だ。
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コメンテータープロフィール
専門は比較政治、欧州政治。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。日本貿易振興機構(JETRO)パリ・センター、パリ政治学院招聘教授、ニューヨーク大学客員研究員、北海道大学法学研究科教授等を得て現職。フランス国立社会科学高等研究院リサーチ・アソシエイト、シノドス国際社会動向研究所理事。著書に『アフター・リベラル』(講談社現代新書)、『ポピュリズムを考える』(ちくま新書)、『感情の政治学』(講談社メチエ)『ミッテラン社会党の転換』(法政大学出版局)、編著に『ヨーロッパ統合とフランス』(法律文化社)、『現代政治のリーダーシップ』(岩波書店) など。
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