解説今年5月、水俣病患者との懇談の場で環境省がマイクを切った事件。水俣病事件の取材歴が長い記者が、この記事中で大事な指摘をしている。環境省は水俣病への施策を「後ろ向き」と捉えている。つまり、積極的に取り組みたくない案件ということだ。 それはなぜか。「水俣病の責任を認めることは国策の誤りを認めること」だからだ。つまり、戦後「日本の復興と、九州の一寒村の漁師や子どもたちの命。当時の官僚や政治家が秤にかけたものはあまりに大きすぎた」のだ。 環境省は水俣病問題に「前向き」に取り組むことに背を向け、全力で遠ざかろうとしている。そこにある病巣は非常に深い。今回の事件の背景についてあらためて考えさせられる記事だ。
コメンテータープロフィール
専門は環境政策論・環境経済学。公害問題の研究を踏まえ、福島原発事故の賠償や被災地の復興に関する調査研究に取り組む。博士(経済学、一橋大学)。岩波書店『環境と公害』編集同人。日本環境会議(JEC)副理事長。
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