福島原発避難者訴訟、広島も東電に賠償命令 国の責任認めず
東京電力福島第1原発事故で避難生活を余儀なくされ精神的な苦痛を受けたとして、福島、埼玉県と東京都から広島県へ避難した15世帯37人が、国と東電に1人当たり1100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が16日、広島地裁であった。吉岡茂之裁判長は、東電に一部の原告への支払いを命じ、国への請求は退けた。 【画像】東電に損害賠償を命令した広島地裁 提訴は、2011年3月の原発事故から3年半後の14年9月。以降3回の追加提訴があった。原告の代理人弁護士によると、同様の訴訟は全国で約30件起こされ、最高裁が22年6月に国の賠償責任を認めない判決を言い渡して以降、同様の判決が続いている。 広島地裁で原告側は、津波や地震の知見の進展に伴い、東電は遅くとも06年には原発事故を予見できたのに対策を怠ったと指摘。国も原発の安全指針を改めず、東電に改善を命じなかったなどと訴えていた。 一方、東電は地震と津波の規模は想定を超え、予見できなかったとした上で「原子力損害賠償法に基づいて賠償に応じており、それ以上の賠償に応じる責任はない」と主張。国側は「国に賠償責任はない」としていた。
中国新聞社