解説サバフグは無毒な種もいますが、有毒種はトラフグなどと同じようにテトロドトキシンという毒素を持ちます。 テトロドトキシンは、神経を麻痺させる毒性作用があり、運動神経と感覚神経だけでなく、自律神経系も麻痺します。呼吸するための筋肉も動かなくなったり、徐脈低血圧を起こしたり、いわゆる仮死状態となります。そのまま死に至ることももちろんあります。 熱を加えても毒素は安定しているため、毒がある部位が流通すると厄介です。無毒であること、仮に毒を持っていたとしても、毒を摂取しないように願うばかりです。 なお、解毒薬はありません。治療は麻痺が改善するまで人工呼吸管理や昇圧薬の投与などして、生命維持を図りつつ時間を稼ぐ事になります。思っている以上に大変なことになりますので、流通元を確認するなど、警戒心を大事にして下さい。
コメンテータープロフィール
やくしじひろまさ/Yakushiji Hiromasa。救急科専門医。空気と水と米と酒と魚がおいしい富山で医学を学び、岸和田徳洲会病院、福岡徳洲会病院で救急医療に従事。2020年から家業の病院に勤務しつつ、岡山大学病院高度救命救急センターで救急医療にのめり込んでいる。ER診療全般、特に敗血症(感染症)、中毒、血管性浮腫の診療が得意。著書に「やっくん先生の そこが知りたかった中毒診療(金芳堂)」、「@ER×ICU めざせギラギラ救急医(日本医事新報社)」など。※記事は個人としての発信であり、組織の意見を代表するものではありません。