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鶴岡路人

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慶應義塾大学総合政策学部准教授

報告

見解今回の買収案頓挫は、経済安全保障問題「ではなかった」ことが、ことの本質なのだろう。日本製鉄側は、安全保障上の懸念がないことの法的な議論では勝ち目があると考えたのだろうが、米労組の賛同を得られなかった時点で内政問題になってしまった。 重要産業の雇用や労組に関わる話が内政問題になりやすいのは、米国のみならず欧州も同様だし、また、安全保障を理由にとられる措置の一部が、実際には安全保障とは異なる利益に基づいていることもしばしば発生する。世界で経済安全保障が議論されればされるほど、それは便利に使われることにもなる。問題の本質を見極めることが、今まで以上に求められる。

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コメンテータープロフィール

鶴岡路人

慶應義塾大学総合政策学部准教授

専門は国際安全保障、現代欧州政治。慶應義塾大学法学部卒。同大学大学院、米ジョージタウン大学大学院で学び、英ロンドン大学キングス・カレッジ戦争研究学部で博士号(PhD)取得。在ベルギー日本大使館専門調査員(NATO担当)を経て、2009年から2017年まで防衛省防衛研究所教官、主任研究官。その間、防衛省防衛政策局国際政策課部員、英王立防衛安全保障研究所(RUSI)訪問研究員等を務める。2017年から現職。著書に『欧州戦争としてのウクライナ侵攻』(新潮選書、2023年)、『EU離脱』(ちくま新書、2020年)等。また、2023年から2024年までオーストラリア国立大学(ANU)訪問研究員。

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