見解業績悪化に直面するUSスチールの国際競争力は大幅に低下しており、競争力を高めるためには外部からの高度な技術と巨額の資本の導入が不可欠な情勢であった。 今回、日本製鉄が提示していたUSスチールに対する買収条件は、米国内で雇用を創出し、米国の鉄鋼産業の発展に貢献するものであり、USスチールにとっては千載一遇のチャンスであったはずだ。 海外からの投資に対する保護主義的な政策は、短期的には米国経済に多少のメリットをもたらすかもしれないが、やや長い目で見れば、高コスト体質が温存されることで競争力のさらなる低下を招き、米国の鉄鋼産業の衰退に拍車をかける結果になるのではないか。
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コメンテータープロフィール
1971年神奈川県生まれ。95年慶応義塾大学経済学部卒業、同年銀行系シンクタンク入社。99年日本経済研究センター出向、00年シンガポールの東南アジア研究所出向。02年から05年まで生保系シンクタンク経済調査部主任エコノミストを経て、現在はBRICs経済研究所代表。同研究所の活動とあわせて、フジテレビ「ホンマでっか!?TV」など各種メディアにも出演中。また、雑誌・WEBでの連載や各種の講演も多数行なっている。『図説BRICs経済』(日本経済新聞社)、『増税なしで財政再建するたった一つの方法』(角川書店)、『オトナの経済学』(PHP研究所)、『日本の「地下経済」最新白書』(SB新書)など著作多数。
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