見解取調べの録音・録画は、2019年から施行された新しい制度です。以前にも試行的に実施されてきましたが、裁判員裁判の対象となる重大事件や、検察が独自に捜査を行う事件について、身体拘束後の取調べについては全ての過程を録音・録画することが義務付けられることになりました。 この刑訴法規定は、直接には、捜査段階の自白の任意性が争点となった場合に、取調べの違法性などを事後的に検証できるようにし、ひいては、取調室で違法・不当な態様での取調べを防止することを目的とします。実際に、本件の刑事裁判では、取調べが不当であるとして、判決でも強く批判されています。 その後、本国賠訴訟が提起され、原告側は、主に取調べの違法性を主張しています。取調べ状況の録音・録画は、確かに刑事裁判のための証拠ですが、前述の趣旨からは、本件のような国賠訴訟にも活用すべきだと思われます。その意味で、本提出命令は妥当な判断です。
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コメンテータープロフィール
旅行会社勤務を経て29歳で立命館大学に入学し、3年生の時に司法試験に合格。卒業後は京都大学大学院法学研究科に進み、刑事法を専攻。2005年に近畿大学法学部専任講師となり、現在は教授。2011年から2012年にかけて、ドイツ・アウクスブルク大学客員教授を務める。専門は刑事法全般(特に刑事訴訟法)。著書は、『刑事訴訟法』、『刑事手続における審判対象』、『刑事弁護の理論』(全て単著)。法学博士。趣味は洋画鑑賞、水泳、見る将(大山・中原時代からの筋金入り)。
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