解説日本人の国際感覚はここまでズレてるのか、と逆の意味で勉強になる記事だ。ASEANは日本より数段大人だ。対立と協力を併存させ、米国の手先になる気もさらさらない。例外はフィリピンのマルコス政権だ。その傾向は過去10年ほどのASEANの主要会議やシャングリラダイアログに顕著だ。対中感情が年々上昇してきたこともシンガポールの調査機関が発表している。改善の理由は「一帯一路」の成功だという。今年は「米中どちらと連携すべきか?」の問いに「中国」との回答が「米国」を上回った。ここにパレスチナ問題によるマレーシアやインドネシアの対米不信が重なり、中国が切り崩すまでもなく、中国に大きく傾いているのだ。南シナ海問題で中国を非難するベトナムはさらに大人。会議で非難しながら書記局常務を訪中させ、直後に李強を自国に招き歓待した。フィリピンを除く多くの国の関心事は、いかに米国を怒らせないで蚊帳の外に置くか、だろう。
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コメンテータープロフィール
1964年愛知県生まれ。北京大学中文系中退後、『週刊ポスト』記者、『週刊文春』記者を経て独立。ジャーナリストとして紙誌への寄稿、著作を発表。2014年より拓殖大学教授。