外国ルーツの子どもたちの教育支援体制整備は2019年を境にこれまでにないスピード感を持って拡充されはじめました。その背景には少子化への危機感による外国人人材受け入れ需要の高まりが影響しています。外国人人材獲得の国際競争が激しくなる中で選ばれるために、その家族や子どもたちへの生活・教育環境も整備していくことが急務であったからです。 それまでは小中学校が主な対象であった公立学校における日本語指導体制の整備を高校生年代にまで拡充したことも、こうした流れの中ひとつと言えます。ただ、現時点では「無理ゲー」との表現は適切ではないにせよ、ポストコロナによる支援ニーズの急増を受けて、これまで以上に支援の担い手不足の状況が深刻化し、教員負担も増加しているのが現状です。オンラインを活用し広域で日本語教育機会を整備したり、個別指導の場合は日本語能力別に集団化して効率化を進めるなど、技術面を含めた工夫が必要です。
コメンテータープロフィール
1979年東京都生まれ。16才で単身フィリピンのハイスクールに留学。 フィリピンの子ども支援NGOを経て、2010年より現職。「多様性が豊かさとなる未来」を目指して、海外にルーツを持つ子どもたちの専門的日本語教育を支援する『YSCグローバル・スクール』を運営する他、日本語を母語としない若者の自立就労支援に取り組む。 日本語や文化の壁、いじめ、貧困など海外ルーツの子どもや若者が直面する課題を社会化するために、積極的な情報発信を行っている。2021年:文科省中教審初等中等分科会臨時委員/外国人学校の保健衛生環境に係る有識者会議委員。
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