解説「停戦」なんだけどイスラエルだけ好きなように攻撃してよい、という案ですね。南レバノン情勢「解決」の基礎とみなされている安保理決議1701号も、本質的には同様の発想に基づくものです。ヒズブッラーの側から「停戦に肯定的」な発言が出ているとされていますが、これは「停戦」案や協議を「ヒズブッラーがぶち壊しにした」とのストーリー作りを阻止するための対応策と考えておけばよいでしょう。「壊滅」したはずのヒズブッラーが2か月後も3か月後もイスラエルに人的被害を与え続けるという状況が生じたときにどう論評すべきかを準備しておいた方がよさそうです。
コメンテータープロフィール
新潟県出身。早稲田大学教育学部 卒(1998年)、上智大学で博士号(地域研究)取得(2011年)。著書に『現代シリアの部族と政治・社会 : ユーフラテス河沿岸地域・ジャジーラ地域の部族の政治・社会的役割分析』三元社、『「イスラーム国」がわかる45のキーワード』明石書店、『「テロとの戦い」との闘い あるいはイスラーム過激派の変貌』東京外国語大学出版会、『シリア紛争と民兵』晃洋書房など。
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