解説2023年10月7日以前の推定よりもはるかにハマースの戦力や備蓄が強力だったということでもありますし、双方の実力差に鑑みればもっと早く戦力が払底してもおかしくはなかったでしょう。イスラエルには、ハマースの殲滅よりほかにガザ地区やヨルダン川西岸地区の人口構成に関する狙いもあるでしょうから、いつまでも決着をつけずになぶり殺しのようにして紛争を続けるという展開も想定しておきましょう。もっとも、「諜報情報」には事実を明らかにすることだけでなく、世論や第三者を自陣営に有利になるよう操作・扇動するという大切な役割があります。そのあたりも踏まえて考えた方がいいでしょう。
コメンテータープロフィール
新潟県出身。早稲田大学教育学部 卒（1998年）、上智大学で博士号（地域研究）取得（2011年）。著書に『現代シリアの部族と政治・社会 : ユーフラテス河沿岸地域・ジャジーラ地域の部族の政治・社会的役割分析』三元社、『「イスラーム国」がわかる45のキーワード』明石書店、『「テロとの戦い」との闘い あるいはイスラーム過激派の変貌』東京外国語大学出版会、『シリア紛争と民兵』晃洋書房など。
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