Yahoo!ニュース

高野龍昭

高野龍昭

認証済み

東洋大学 福祉社会デザイン学部 教授/介護支援専門員

報告

長い間、妻•亥聖子さんの介護を続けてきた夫•哲也さんの「ケアラー」(家族介護者)としての孤独感は、自分の体調の悪さとともに、ご夫妻の心のなかにすべて封印され、誰とも共有されることを望んでいなかったのでしょう。 ご近所の方々はそれを心配し、メッセージを送り続けていたようにうかがえます。また、介護専門職の関わりもあったようです。それでも、村武さんご夫妻の孤独感が共有されることはありませんでした。 近年、「ヤング•ケアラー」という言葉で、家族の介護などを担っている若年者の問題が注目を集めています。それは介護する側の「自己犠牲」と「孤独」という言葉に集約されるのだと思います。しかし、それは年齢階層を問わず、家族介護者に通底する問題です。そうした家族介護者をサポートするわが国の社会システムや制度等の貧弱さが端的かつ如実に表れた事件だと言えるでしょう。

こちらの記事は掲載が終了しています

参考になった760

同じ記事に対する他のコメンテーターコメント

  • 井上智介

    精神科医/産業医

    介護殺人が起こった時、ほとんどの加害者に共通する特徴は【極端な睡眠時間の減少】です。 大半のケース…続きを読む

  • 荒川和久

    独身研究家/コラムニスト/マーケティングディレクター

    「家族なんだから家族が面倒をみなければならない」という家族規範の成れの果ては、家族共倒れの地獄でしか…続きを読む

コメンテータープロフィール

高野龍昭

東洋大学 福祉社会デザイン学部 教授/介護支援専門員

1964年・島根県生まれ。1986年から医療ソーシャルワーカーやケアマネジャーの実務を経験し、2005年から東洋大学で介護福祉士などの福祉専門職養成と高齢者福祉・介護保険制度・ケアマネジメントの研究を行う。社会福祉士・介護支援専門員。

高野龍昭の最近のコメント