見解なぜ今なのだろうか。なぜ、事象の発生から一か月もしてからの中東訪問なのだろうか。直後の訪問ならば、テロの犠牲者に哀悼の意を示し、事態の鎮静化に努めるという日本外交のメッセージが強く伝わったはずなのに。イスラエルの激しいガザ攻撃のさなかの訪問では、停戦を訴えたとしても、攻撃が続けば、日本外交の無力が目立つ。悪くすれば、イスラエルのガザ攻撃を黙認しているようにさえ受け取られかねない。なぜ、この時期なのだろうか。なぜイランに行かないのだろうか。日本はイランと友好関係を維持してきた。それがアメリカとは違う日本の中東外交の強みである。イスラエルとイランの衝突さえ懸念される状況下で、両国を訪問して自制を訴えれば、日本外交の見せ場となったのではないだろうか。イラン外交の中国やロシアへの傾斜に歯止めをかけ、欧米との対話のチャンネルとなる。そうした外交的な大志を抱いていただきたい。今からでも、イラン訪問を!
コメンテータープロフィール
国際情勢をわかる言葉で、まず自分自身に語りたいと思っています。北九州で生まれ育ち、大阪とニューヨークで勉強し、クウェートでの滞在経験もあります。アメリカで中東を研究した日本人という三つの視点を大切にしています。映像メディアに深い不信感を抱きながらも、放送大学ではテレビで講義をするという矛盾した存在です。及ばないながらも努力を続け、その過程を読者の皆様と共有できればと希求しています。
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