補足政治犯の収容所が解放され、その全容が明らかになりつつある。1971 年から半世紀以上にわたって構築されてきた恐怖のシステムである。これが、故ハーフェズ・アサドと息子のバシャール・アサドの親子二代にわたる独裁を守ってきた。アサド一族は、アラウィー派に属している。シリアの人口の１割強ほどを占めている少数派だ。このアラウィー派をシーア派の一部と見る見解もあれば、異端との認識も存在している。その教義はキリスト教などと融合した秘儀的なものとされている。仏教徒のように輪廻（りんね）を信じているとされる。 地中海岸沿いの山岳地帯を生活空間としてマイノリティーとしてのアイデンティティーを守り通してきた。アラウィー派は、貧しく、蔑（さげす）まれ、虐（しいた）げられた集団であった。その少数派が権力を掌握した。アサド家は、国民の支持ではなく恐怖での権力を維持を選択した。結果が恐怖の政治犯収容所だった。
コメンテータープロフィール
国際情勢をわかる言葉で、まず自分自身に語りたいと思っています。北九州で生まれ育ち、大阪とニューヨークで勉強し、クウェートでの滞在経験もあります。アメリカで中東を研究した日本人という三つの視点を大切にしています。映像メディアに深い不信感を抱きながらも、放送大学ではテレビで講義をするという矛盾した存在です。及ばないながらも努力を続け、その過程を読者の皆様と共有できればと希求しています。
関連リンク（外部サイト）
