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田上嘉一

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弁護士/陸上自衛隊二等陸佐(予備)

報告

補足1974年に国連総会で採択された「侵略の定義に関する決議」では、海上封鎖は侵略(武力攻撃)に当たるとされています。しかし、問題は、中国は台湾を自国の領土であり独立国として認めていない以上、その理屈でいくと中台紛争は国家間の紛争ではなく、非国際的武力紛争となりえてしまうのです。 他方で、海上封鎖を行えば、非当事者の船舶航空機に対する領海外での妨害を行うことになりますが、このような行為は国際的武力紛争でしか許されません。したがって、中国の海上封鎖が国際法に抵触しないとするためには、これは国際的武力紛争であるということであり、結果的に台湾を法的に承認するになってしまうというジレンマに陥るという、中国政府にとっては悩ましい問題があります。 同様の事例はアルジェリア内戦時におけるフランスの海上交通妨害事案や、ガザ自由船団に対するイスラエルの臨検事案などがあります。

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同じ記事に対する他のコメンテーターコメント

  • 野嶋剛

    ジャーナリスト/作家/大東文化大学教授

    補足中国の台湾封鎖に対する戦時備蓄の必要性は2022年のペロシ米元下院議長の訪問時から議論はされていたが…続きを読む

コメンテータープロフィール

田上嘉一

弁護士/陸上自衛隊二等陸佐(予備)

弁護士。早稲田大学法学部卒、ロンドン大学クィーン・メアリー校修士課程修了。陸上自衛隊三等陸佐(予備自衛官)。日本安全保障戦略研究所研究員。防衛法学会、戦略法研究会所属。TOKYO MX「モーニングCROSS」、JFN 「Day by Day」などメディア出演多数。近著に『国民を守れない日本の法律』(扶桑社新書)。

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