解説報道では「他の顧客の貸金庫の現金を一時的に補塡(ほてん)していた」とのことで、女性行員が被害の発覚を遅らせるために、単独で帳尻合わせさえもできる、ずさんな管理状況だったことが浮き彫りになっています。 一般に犯罪をするものは、悪事が表に出ないように嘘の上塗りをしますが、その行為自体が逆に嘘を暴かれる機会を増やすことになります。しかし4年の長きにわたって、隠蔽行為にすら気づけない銀行とはどういう所なのかと思ってしまいます。 「盗難被害の総額は少なくとも約60人の顧客の時価十数億円」とので、隠ぺい行為は相当数行われたと思われます。とすれば、どこかに被害に気づけるタイミングはあったはずですし、どんなに隠蔽しても被害に気づける顧客からの報告は何かあったのではないかと思います。 いずれにしても、今回の事件を通じて金融機関の側が本気で顧客の資産を守ろうとする姿勢が希薄なことを示す結果となっています。
同じ記事に対する他のコメンテーターコメント
コメンテータープロフィール
2001年~02年まで、誘われたらついていく雑誌連載を担当。潜入は100ヶ所以上。20年の取材経験から、あらゆる詐欺・悪質商法の実態に精通。「ついていったらこうなった」(彩図社)は番組化し、特番で第8弾まで放送。多数のテレビ番組に出演している。 旧統一教会の元信者だった経験をもとに、教団の問題だけでなく世の中で行われる騙しの手口をいち早く見抜き、被害防止のための講演、講座も行う。2017年~2018年に消費者庁「若者の消費者被害の心理的要因からの分析に係る検討会」の委員を務める。近著に『信じる者は、ダマされる。~元統一教会信者だから書けた「マインドコントロール」の手口』(清談社Publico)