補足枝野幸男という人のロックシンガーとしての優秀ぶりがうかがえます。まずは「中学時代、合唱コンクールで全国優勝した実績も持つ」というエピソードに驚きます。 あと「普通、女性歌手の歌は原曲キーを４つ上げ、オクターブ下げて歌うけど、ＹＯＡＳＯＢＩは４つ上げたら歌えない。２つ上げに留める」ということは、話に出てくる『群青』の最高音（最後の「♪（いまもそ）こー（にあるよ）」）を上のB♭で歌っているということになります。男性としては、かなり高い音で、ここを地声で歌えているとすれば、かなりのハイトーンを誇る可能性が高い。LOOK『シャイニン・オン 君が哀しい』（85年）あたりを歌うのを聴きたいですね。 ですが、もっとも驚いたのは、「谷村新司さんとＹＯＡＳＯＢＩの『群青』」をカラオケで歌うということです。この2曲をカラオケのレパートリーしている人は、日本広しといえど、下手したら枝野氏だけなのでは？
コメンテータープロフィール
音楽評論家。ラジオDJ、小説家。1966年大阪府東大阪市生まれ。BS12『ザ・カセットテープ・ミュージック』、bayfm『9の音粋』月曜日に出演中。主な著書に『幸福な退職』『桑田佳祐論』（新潮新書）、『EPICソニーとその時代』（集英社新書）、『平成Jポップと令和歌謡』『80年代音楽解体新書』（ともに彩流社）、『恋するラジオ』（ブックマン社）、『サザンオールスターズ1978-1985』（新潮新書）、『1984年の歌謡曲』（イースト新書）など多数。東洋経済オンライン、東京スポーツなどで連載中。2023年12月12日に新刊『中森明菜の音楽1982-1991』（辰巳出版）発売。
