「なんで言ってやれなかったんだろう」天龍源一郎74歳が語る亡き妻への後悔 #老いる社会
2015年にプロレスラー人生に終止符を打った天龍源一郎。引退後はタレントとして人気を博すものの、19年に小脳梗塞、21年にはうっ血性心不全で入院し、病と闘う日々を送った。22年には妻のまき代さんが肺がんのため65歳で死去。誰よりも激しく戦ってきた男が目に涙を浮かべながら語る妻への後悔。そして、車いすでの生活が基本となり、老いと向き合う74歳の天龍だからこそできる“プロレス”とは。(取材・文:中西正男/撮影:近藤俊哉/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
最愛の妻に先立たれたミスタープロレスの今
今はね、基本的には、何か声がかかったら出ていく。そういうスタンスですね。 独演会というか自分の歴史を語る会をやったり、レスラーを集めてプロレスの興行「天龍プロジェクト」をやったりもしています。 体はね、もう全然ですよ。もともとデカいから体重はキープできてるかもしれないけど、余分な肉がついて、肝心な筋肉は落ちちゃってますからね。なんとか、そこらへんのプロレスラーよりはデカいままではいますけど(笑)。 最近は病院に行くことも増えましたけど、医者の説明は娘が全部聞いてくれているんで、細かいことは任せてます。ただ、まだまだアッチの世界には行かない感じだとは聞いているんです。こんなに長生きすると思わなかったね(笑)。 プロレスをやっていたときはね、カッコいい言い方をすると、リングの上で死んでもいいやって思ってましたね。ただ、今、そこからちょっと引いて生きてると、何て言うかな、毎日こうやって過ごしていけるのがありがたい。それを噛みしめてもいます。 そうなると、余計に女房がいつも言ってたことを思い出すというかね。「無事に帰って来てよ」って常に言われてましたから。これが女房とオレとの、決めゼリフみたいなもんで。プロレスは何があるか本当に分からない。だからこそ「無事に帰って来て」と。今になって、大事なことを言ってくれてたんだなと思いますよ。