Yahoo!ニュース

園田寿

園田寿認証済み

認証済み

甲南大学名誉教授、弁護士

報告

提言かりに女子高生のカバンの中にあったものがアルコールとタバコだったならば、逮捕されることもないし、もちろん新聞記事に載ることもない。法律は、20歳未満の飲酒喫煙の禁止を規定するのみで罰則はなく、かれらに提供した者を最高50万円の罰金に処しているにすぎない。研究が進んだ現在、アルコールとタバコは大麻の有害性をはるかに超える猛毒だといわれているのに、法的規制のバランスは明らかに崩れている。 大麻に関しては、未成年かどうかにかかわらず他者への営利目的での譲渡は最高7年の拘禁刑(来月からの改正法施行後は最高10年の拘禁刑)である。しかし、娯楽用大麻を全面解禁したカナダは、未成年に対する提供は最高で14年の拘禁刑と、日本よりもはるかに厳しい。大麻の全面解禁に進んでいるアメリカでも、未成年者保護(処罰ではない!)が規制緩和の絶対条件である。科学的なエビデンスに基づいて、薬物政策全体を見直すべきである。

コメンテータープロフィール

園田寿

甲南大学名誉教授、弁護士

1952年生まれ。甲南大学名誉教授、弁護士、元甲南大学法科大学院教授、元関西大学法学部教授。専門は刑事法。ネットワーク犯罪、児童ポルノ規制、薬物規制などを研究。主著に『情報社会と刑法』(2011年成文堂、単著)、『改正児童ポルノ禁止法を考える』(2014年日本評論社、共編著)、『エロスと「わいせつ」のあいだ』(2016年朝日新書、共著)など。Yahoo!ニュース個人「10周年オーサースピリット賞」受賞。趣味は、囲碁とジャズ。(note → https://note.com/sonodahisashi) 【座右の銘】法学は、物言わぬテミス(正義の女神)に言葉を与ふる作業なり。

園田寿の最近のコメント