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園田寿

園田寿

認証済み

甲南大学名誉教授、弁護士

報告

見解大麻の法的地位を決定的にしたのは、1961年の国連麻薬単一条約である。WHOが大麻に薬効はまったく認められないと宣言し、大麻がアヘンやコカインなどと同じ有害性のカテゴリーに分類された。その宣言は実は1935年の分析が元になっており、その後80年以上WHOの態度は変わらなかったが、ようやく2018年になって見直しが行なわれ、大麻に関する規制は世界的にますます緩和される傾向にある。 他方、日本での大麻規制を支えてきたのは、(1)大麻に薬効がなく、(2)依存性があり、さらに(3)処罰が治療のきっかけになるというものであった。昨年、(1)は否定されたが、あとの2点についても懐疑的な意見は強い。 依存といっても身体的なものは軽く、(吸いたいという)精神的な依存率も常用者の1割程度だといわれており、処罰を治療のきっかけにするといっても、治療を必要とする常用者がはたしてどれくらいいるかは疑わしい。

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コメンテータープロフィール

園田寿

甲南大学名誉教授、弁護士

1952年生まれ。甲南大学名誉教授、弁護士、元甲南大学法科大学院教授、元関西大学法学部教授。専門は刑事法。ネットワーク犯罪、児童ポルノ規制、薬物規制などを研究。主著に『情報社会と刑法』(2011年成文堂、単著)、『改正児童ポルノ禁止法を考える』(2014年日本評論社、共編著)、『エロスと「わいせつ」のあいだ』(2016年朝日新書、共著)など。Yahoo!ニュース個人「10周年オーサースピリット賞」受賞。趣味は、囲碁とジャズ。(note → https://note.com/sonodahisashi) 【座右の銘】法学は、物言わぬテミス(正義の女神)に言葉を与ふる作業なり。

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