補足『紅白』の選考基準は以前から大きな変化なく継続されており、今回が初めての発表というわけではありません。その独自の調査方法により、過去にはチャートには表れにくい人気アーティストも見出してきました。その代表例が西野カナや木村カエラです。 2006年から2015年頃は、音楽聴取の形態がCDから配信へと移行していく過渡期でした。この時期、オリコンがCDランキングに固執した結果、ジャニーズとAKB48系のアーティストが上位を占める状況となり、機能不全に陥りました。しかし、そのような状況下でも『紅白』は独自に「音楽人気」を見極める努力を続けてきたのです。 ただし、「番組の企画・演出」という観点については恣意的な部分が否めません。実際の選考は、人気、NHKへの貢献度、ジャンル（演歌、アイドル等）、固定ベテラン枠、ベテランへの功労枠という５つの要素のバランスで決定されているように見受けられます。
コメンテータープロフィール
まつたにそういちろう／1974年生まれ、広島市出身。専門は文化社会学、社会情報学。映画、音楽、テレビ、ファッション、スポーツ、社会現象、ネットなど、文化やメディアについて執筆。著書に『ギャルと不思議ちゃん論：女の子たちの三十年戦争』（2012年）、『SMAPはなぜ解散したのか』（2017年）、共著に『ポスト〈カワイイ〉の文化社会学』（2017年）、『文化社会学の視座』（2008年）、『どこか〈問題化〉される若者たち』（2008年）など。現在、NHKラジオ第１『Nらじ』にレギュラー出演中。中央大学大学院文学研究科社会情報学専攻博士後期課程単位取得退学。 trickflesh@gmail.com
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