補足病院が攻撃され多数が死傷するという、にわかには信じがたいことですが、イスラエル軍ならやりかねないと言えます。私が現地で取材していた2014年のガザ攻撃では避難所となっていた国連管理の学校が3回もイスラエル軍に攻撃されました。当初、イスラエル軍は「ハマスのロケット弾が誤って落ちた」と主張しましたが、その後、攻撃の事実を認め、国連も米国もイスラエルを強く批難しました。2014年の攻撃ではガザ中部の病院がイスラエル軍に砲撃され、4人が死亡したこともあります。この1年後にまとめられた国連人権委員会報告書もイスラエル軍が避難施設や医療施設への攻撃を行ったことを確認し、戦争犯罪だと指摘しています。こうした事例からも今回の「ガザ側のロケット弾による被害だ」というイスラエル側の主張をそのまま受け入れることは非常に問題があり、一時的にでも停戦して国連等による事実確認のための調査を行うことが必要でしょう。
コメンテータープロフィール
パレスチナやイラク、ウクライナなどの紛争地での現地取材のほか、脱原発・温暖化対策の取材、入管による在日外国人への人権侵害etcも取材、幅広く活動するジャーナリスト。週刊誌や新聞、通信社などに写真や記事、テレビ局に映像を提供。著書に『ウクライナ危機から問う日本と世界の平和 戦場ジャーナリストの提言』（あけび書房）、『難民鎖国ニッポン』、『13歳からの環境問題』（かもがわ出版）、『たたかう！ジャーナリスト宣言』（社会批評社）、共著に共編著に『イラク戦争を知らない君たちへ』(あけび書房)、『原発依存国家』(扶桑社新書)など。
