はっきり言って、これはむしろ逆効果です。サウジとイランの関係は非常に険悪で、イエメンやシリアなどで代理戦争をしているくらいなので。 トランプ政権が主導するホルムズ海峡やその周辺への各国の海軍艦船の派遣は、対イラン包囲網であり、日本は建前ではその枠組に入っていないとしていますが、それをどう受け取るかはイラン次第です。 今回、海上自衛隊が派遣される海域はイエメンに近く、同国にはイランの支援を受けた武装組織フーシ派がいます。また、同国にサウジが無差別空爆を行っているという問題も。だから、サウジが海自派遣を「完全支持」し、連携するということは、イランやフーシ派の敵意を買うことになりかねません。それは海自だけでなく、日本の民間の船舶にとってもリスクです。 くれぐれもサウジの支持を得たことを中東への海外派遣のお墨付きなどと考えないことです。
コメンテータープロフィール
パレスチナやイラク、ウクライナなどの紛争地での現地取材のほか、脱原発・温暖化対策の取材、入管による在日外国人への人権侵害etcも取材、幅広く活動するジャーナリスト。週刊誌や新聞、通信社などに写真や記事、テレビ局に映像を提供。著書に『ウクライナ危機から問う日本と世界の平和 戦場ジャーナリストの提言』(あけび書房)、『難民鎖国ニッポン』、『13歳からの環境問題』(かもがわ出版)、『たたかう!ジャーナリスト宣言』(社会批評社)、共著に共編著に『イラク戦争を知らない君たちへ』(あけび書房)、『原発依存国家』(扶桑社新書)など。
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