見解既に民間は内々定を出すところもあるなか、中途半端な前倒しでは、効果は疑問。教員採用試験は日程がかぶらない限り併願が可能なので、見かけ上の受験者が増えても、本命受験は増えていない可能性もあります。ただ、3年生から受けられる地域は、大学生に歓迎されている側面もあります(教育実習を経験せずに受験することの良し悪しはありますが)。 また、5月6月に採用試験を実施するのは、既卒者で講師などを勤めながら採用試験にチャレンジする層にとっては、試験対策が大変です。4月5月は学校が最も忙しい時期だからです。そのため、年度当初に講師になるのを躊躇する人も出てきています。これでは、人材不足解消のための採用試験前倒しが、むしろ、人材不足を助長してしまっています。こうした功罪を検証したうえで、一度はじめたとはいえ、続けるのかどうか、冷静かつ早急に検討したほうがよいと思います。
コメンテータープロフィール
徳島県出身。野村総合研究所を経て2016年から独立し、全国各地で学校、教育委員会向けの研修・講演、コンサルティングなどを手がけている。5人の子育て中。学校業務改善アドバイザー(文科省等より委嘱)、中央教育審議会「学校における働き方改革特別部会」委員、スポーツ庁、文化庁の部活動ガイドライン作成検討会議委員、文科省・校務の情報化の在り方に関する専門家会議委員等を歴任。主な著書に『変わる学校、変わらない学校』、『教師崩壊』、『教師と学校の失敗学:なぜ変化に対応できないのか』、『こうすれば、学校は変わる!「忙しいのは当たり前」への挑戦』、『学校をおもしろくする思考法』等。コンタクト、お気軽にどうぞ。
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