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千田有紀

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武蔵大学社会学部教授(社会学)

報告

見解記事でも触れられているが、ハリス氏の敗北には、現副大統領であり、激しい選挙戦を勝ち抜いたというよりは、いわば繰り上がりで候補になった側面がある。また政策を訴える際に、現副大統領としての手腕が問われる構造になったこと、いまのアメリカには経済の改善が必要だと強く意識されていることなどの要因があるだろう。さらに女性であることや、黒人であることは、新鮮な多様性の新たなイメージを呼び起こす反面、以前からある差別を払しょくできなかったという側面もある。 ところで多様性はいまや、選挙の裏テーマである。トランプ氏を強く支持したイーロン・マスクは、自身のトランスジェンダーの子どもの「治療」過程の親の同意の取りつけ方に激しい批判を繰り広げてきた。性別をめぐっては様々な問題が起こっているが、多様性を否定することは表ではなかなか困難であり、黙っている有権者は投票行動で示すということなのだろう。

同じ記事に対する他のコメンテーターコメント

  • 鈴木崇弘

    政策研究者、PHP総研特任フェロー

    解説今回の米大統領選挙は、現在の経済状況への不満が決定要因だったのではないだろうか。ハリス氏は、現役の副…続きを読む

コメンテータープロフィール

千田有紀

武蔵大学社会学部教授(社会学)

1968年生まれ。東京大学文学部社会学科卒業。東京外国語大学外国語学部准教授、コロンビア大学の客員研究員などを経て、 武蔵大学社会学部教授。専門は現代社会学。家族、ジェンダー、セクシュアリティ、格差、サブカルチャーなど対象は多岐にわたる。著作は『日本型近代家族―どこから来てどこへ行くのか』、『女性学/男性学』、共著に『ジェンダー論をつかむ』など多数。

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