前提として、出馬することも出馬を取りやめることも立候補予定者の自由です。その上で、近年、選挙に立候補を表明し、記者会見や公開討論会で自らの主張を述べた上で直前に出馬を取りやめる事例が多く見られるようになってきました。 選挙報道は政治的に中立であり、候補予定者を平等に取り扱うことが求められています。そのため、立候補表明の記者会見や公開討論会の主張はどのような候補でも取り上げてもらうことができ、実質的にマスメディアを使って自らの主張を(費用や労力をかけずに)世間に広めることができるツールと化しています。取りやめた候補の主張もネットには残ります。 供託金制度はこのような売名行為を防止するために設けられた制度ですが、立候補届出までに供託すれば良いのであって実質的に売名行為の抑制になっていません。メディアの報道も含め、本当に立候補をする人との差別化対策を考える時期に来てるのではないのでしょうか。
コメンテータープロフィール
1988年生まれ。青山学院高等部卒業、青山学院大学経営学部中退。2010年に選挙コンサルティングのジャッグジャパン株式会社を設立、現在代表取締役。不偏不党の選挙コンサルタントとして衆参国政選挙や首長・地方議会議員選挙をはじめ、日本全国の選挙に政党党派問わず関わるほか、政治活動を支援するクラウド型名簿地図アプリサービスの提供や、「選挙を科学する」をテーマとした研究・講演・寄稿等を行う。『都道府県別新型コロナウイルス感染者数マップ』で2020年度地理情報システム学会賞(実践部門)受賞。2021年度経営情報学会代議員。