コインハイブは、「サイトの運営者が、閲覧者に仮想通貨を採掘させ、その収益を受け取るサービス」です。サイトに広告を貼り付けなくても運営者が収益を得られるため、「邪魔な広告に代わる、サイトの収益化手段」と期待されていました。ただ「無断で設置すると、閲覧者のPCパワーを勝手に使って迷惑」との意見もありました。 今回の裁判で被告となったデザイナーは「広告あふれる現状のメディアのあり方に疑問を感じていた」ため、コインハイブを試したと自らのブログで説明しています。評価の定まっていない新技術を試すことは、Web業界では当たり前のこと。それが警察の摘発対象になった今回の例は業界を震撼させました。「技術の発展を妨げる」「萎縮してしまう」と懸念する声は大きく、被告を支援する動きも活発化していました。 今回、無罪判決を得られたことは、業界にとって本当に良かったと思います。
コメンテータープロフィール
1978年生まれ。京都大学卒。IT系ニュースサイト記者、Webベンチャーを経て、IT・Web分野を軸に幅広く取材、執筆するフリーランス記者。著書に「ネットで人生、変わりましたか」(ソフトバンククリエイティブ)。