見解今回の件が今後、刑事事件となる可能性があるのか記事からはわかりませんが、ならないのであれば、障害者の性被害を立件する難しさを改めて感じます。 近年、障害のある人を狙った性暴力の実態が少しずつ可視化され始めています。加害者が障害者を狙う理由に、「どうせ被害を訴えられない」という思い込みや、「訴えてもその証言は信用されないだろう」といった軽視や差別的な発想があります。 裁判での性被害の証言は健常者でも困難なことがあり、障害のある人にとってはより困難なこともあります。 2023年の刑法改正では被害者が障害者の場合、本人の証言が困難であっても「物的証拠」「第三者の目撃」「被疑者による自白」のいずれかをもって罪に問えると、要件が緩和されました。 これは見過ごされてきた障害者の性被害を重く捉えての改正ですが、物的証拠や第三者の目撃証言があるケースは稀です。
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コメンテータープロフィール
ライター/主に性暴力の取材・執筆をしているフェミニストです/1980年東京都品川区生まれ/Yahoo!ニュース個人10周年オーサースピリット大賞をいただきました⭐︎ 著書『たまたま生まれてフィメール』(平凡社)、『告発と呼ばれるものの周辺で』(亜紀書房)『「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を』(タバブックス)、共著『災害と性暴力』(日本看護協会出版会)『わたしは黙らない 性暴力をなくす30の視点』(合同出版)など