解説伝統的外交エリートが、トランプではなくバイデン大統領を信頼しているのは間違いないでしょう。外交には大統領のほかに、閣僚、補佐官など、様々な行政部のアクターが関与しています。バイデン政権は外交について造詣の深い外交エリートに多くの決定を委ねているため、バイデン自身が多少疲れていたとしても、大きな問題は発生しにくい仕組みになっています。他方、トランプ政権期には外交エリートが遠ざけられ、対外問題に関心を持っているのかも疑わしいポピュリストが政権中枢に入っていました。しかも、担当閣僚が行った協議を大統領がツイッターで覆すようなこともしました。ブリンケンがバイデン政権の業績を強調したのは、彼が閣僚であることを差し引いても、当然かと思います。
コメンテータープロフィール
専門は比較政治・アメリカ政治。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了、博士(法学)。主要著書に、『〈犯罪大国アメリカ〉のいま:分断する社会と銃・薬物・移民』(弘文堂、2021年)、『格差と分断のアメリカ』(東京堂出版、2020年)、『アメリカ政治入門』(東京大学出版会、2018年)、『アメリカ政治講義』(ちくま新書、2018年)、『移民大国アメリカ』(ちくま新書、2016年)、『アメリカ型福祉国家と都市政治―ニューヨーク市におけるアーバン・リベラリズムの展開』(東京大学出版会、2008年)などがある。
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