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錦田愛子

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慶應義塾大学法学部教授

報告

見解イスラエルはハマースの幹部である政治部門のハニーヤをイランで殺し、軍事部門のダーエフを殺し、ガザで最高幹部のシンワールを殺した。現状において主だったメンバーの多くが殺され、ハマースは大きな打撃を受けたといえる。しかしそのことは、パレスチナ人の間で抵抗運動の意思がそがれ、組織が壊滅することを意味するわけではない。徹底的な暴力と弾圧は、人々の間に憎しみを植えつけ、むしろ次の世代の抵抗勢力を育てることとなる。そのことが、わずか4才の息子に「銃が欲しい」と言わしめている事実から分かるだろう。 抵抗運動を止めて、脅威を取り除くには、根本的な紛争の解決しかあり得ない。病院の患者が人道的に保護され、ガザの子どもたちの命が餓死や栄養失調で奪われない、正常な状態に戻り初めて対話が可能となる。戦争は人の命を奪うが、民間人の犠牲を防ぐことは将来的な紛争の防止にも重要であることが、ここに示されているといえる。

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コメンテータープロフィール

専門はパレスチナ/イスラエルを中心とした中東地域研究、移民/難民研究。東京大学法学部卒業、同法学政治学研究科修士課程修了、総合研究大学院大学文化科学研究科博士課程修了、博士(文学)。早稲田大学イスラーム地域研究機構研究助手、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所准教授等を経て、現職。ベイルート・アメリカン大学客員研究員、ヘブライ大学トルーマン研究所客員研究員、ロンドン大学東洋・アフリカ研究学院客員研究員などを歴任。単著に『ディアスポラのパレスチナ人―「故郷(ワタン)」とナショナル・アイデンティティ』、編著に『政治主体としての移民/難民――人の移動が織り成す社会とシィティズンシップ』など。

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