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錦田愛子

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慶應義塾大学法学部教授

報告

解説10月1日のイランによるイスラエルへの攻撃以来、報復攻撃がいつ行われるのか注目が集まっていた。バイデン大統領はイスラエルに自制を求め、特に石油関連施設等への報復をしないよう求めた。最大の懸念は核開発施設への攻撃だったが、これらは避けられた形だ。首都テヘランの周辺を含め、イラン国内各地のミサイル開発施設や発射設備が攻撃対象とされた。報復の規模は、受けた攻撃に比してかなり抑制されたものといえる。 報復の時期が遅れた理由としては、外交・軍事的理由の他に、イスラエルの国内事情によるものが考えられる。10月はユダヤ教の祝日が多く続く。その期間を避け、最初の祝日である11日のヨム・キプール(贖罪の日)の前か、すべての祝日の後かで、後者が選択されたのだろう。その間に米軍は高高度迎撃ミサイルシステムのサードをイスラエルに供与し、21日に配備が完了した。これら準備が整うのを待ち報復に踏み切ったと考えられる。

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コメンテータープロフィール

専門はパレスチナ/イスラエルを中心とした中東地域研究、移民/難民研究。東京大学法学部卒業、同法学政治学研究科修士課程修了、総合研究大学院大学文化科学研究科博士課程修了、博士(文学)。早稲田大学イスラーム地域研究機構研究助手、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所准教授等を経て、現職。ベイルート・アメリカン大学客員研究員、ヘブライ大学トルーマン研究所客員研究員、ロンドン大学東洋・アフリカ研究学院客員研究員などを歴任。単著に『ディアスポラのパレスチナ人―「故郷(ワタン)」とナショナル・アイデンティティ』、編著に『政治主体としての移民/難民――人の移動が織り成す社会とシィティズンシップ』など。

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