見解高額療養費制度の上限引き上げは、公的医療保険制度を支える国民の信頼を揺るがしかねません。高額療養費制度は、ビッグリスクに備えるという意味で、公的医療保険制度の根幹の制度です。ここを縮小させて喜ぶのは、補填的な保険商品を販売する民間営利保険企業くらいなものです。民間保険と異なり、公的医療保険は、応能負担(つまり所得の高い人が高い保険料を払う)で成り立っています。つまり所得再分配の要素が組み入れられています。それでも人々が公的医療保険に信頼を寄せるのは、給付については平等であると考えているからでしょう。しかし、負担も高所得者が多く出す、給付は高所得者には低く出す、ということでは公的医療保険への信頼が大きく損なわれてしまいます。医療費の削減は、高齢者の自己負担3割化や一定のアクセス制限で達成すべきであり、最も重要な高額療養費制度の縮小で達成すべきではありません。
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コメンテータープロフィール
1973年愛媛県生れ。横浜国立大学大学院国際社会科学研究科単位取得退学、博士(経済学)。専門は、公共経済学、財政学、社会保障の経済分析。主な著書・論文に「都道府県別医療費の長期推計」(2013、季刊社会保障研究)、「少子高齢化、ライフサイクルと公的年金財政」(2010、季刊社会保障研究、共著)、「長寿高齢化と年金財政--OLGモデルと年金数理モデルを用いた分析」(2010、『社会保障の計量モデル分析』所収、東京大学出版会、共著)など。
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