見解農業を外食産業などの企業組織が自社運営するのは、作況の波と単年度決算とが整合しがたく、本来的に難しいことが前提。昨今の気候変動により、さらにブレが大きくなっている中、自社グループ内でリスクを抱えきることは出来ない。しかし、外食など需要サイドの企業が、インテグレーターとして存在することで、需要確保や価格の不安定性という生産者のリスクを分かち合うことが出来れば、農業サプライチェーンとして、共存出来る可能性は大きい。モスも自社の拡張を停止するのであって、自社運営をしつつ、共にサプライチェーンを構成する生産者とのパートナーシップを拡大していく、ということであろう。自然と向き合う産業である限り、作況リスクは分散と連携によって薄めていくしかないのであり、モスの判断は農業を断念するものでもない。今後は、ぜひ生産者と共存可能なサプライチェーン構築に期待したい。
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コメンテータープロフィール
みずほ銀行産業調査部で 小売・流通アナリストに10年以上従事。2016年同行を退職後、中小企業診断士として独立、開業。同時に、慶應藤沢イノベーションビレッジでベンチャー支援活動を開始。並行して、流通関連での執筆活動を継続し、TV出演、新聞、雑誌などへの寄稿、コメント提供、講演活動などを実施中。2016年よりITmediaビジネスオンライン「小売流通アナリストの視点」、2021年よりビジネス+IT「流通戦国時代を読み解く」 を連載中2020年よりYahoo!公式コメンテーター。2021年8月「図解即戦力 小売業界」(技術評論社)を発刊。