補足心理士として勤務先しているクリニックで、介護しているご家族を対象に、認知症がある人にどう接すればいいかを伝える会を開いていたときのこと。参加者の一人が介護のつらさを語り始め、そこから参加者が互いの苦労を語り合い、励まし合う時間が続きました。そして、「他の人の話を聞き、大変なのは自分だけじゃないんだと思えた」と笑顔で語る姿が見られました。 家族の周囲に、このように介護について語り合って、つらさや戸惑い、そして介護のノウハウを共有できる場が不足していることを感じます。 専門職が寄り添って支援することも必要ですが、同じ家族介護者の言葉だからこそ心に響くということもあります。 ケアラーへのサポートは、埼玉県での支援条例制定を皮切りに、約20の自治体で条例の制定が進んでいます。条例に基づき、具体的な支援が広がっていく事を期待します。
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コメンテータープロフィール
高齢者介護を中心に、認知症ケア、介護現場でのハラスメント、地域づくり等について取材する介護福祉ライター。できるだけ現場に近づき、現場目線からの情報発信をすることがモットー。取材や講演、研修講師としての活動をしつつ、社会福祉士として認知症がある高齢者の成年後見人、公認心理師・臨床心理士として神経内科クリニックの心理士も務める。著書として、『介護職員を利用者・家族によるハラスメントから守る本』(日本法令)、『多職種連携から統合へ向かう地域包括ケア』(メディカ出版)、分担執筆として『医療・介護・福祉の地域ネットワークづくり事例集』(素朴社)など。
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