補足アメリカはこの受賞をどう捉えるだろうか。それでも今までのように広島・長崎への原爆投下を正当化するだろうか。近年アメリカ原爆に関する世論も、とりわけ若い世代において変わりつつある。Yougovが2015年に行った調査では、若い世代ほど「原爆投下は誤っていた」と回答する割合が高く、18~29歳では45%が「間違っていた」と回答し、「正しかった」と回答した41%を上回った。ニューヨークのカーネギー財団とシカゴ国際問題評議会が2023年に実施した調査によれば、若い世代ほど「核抑止は紛争の防止に非常に効果的」と回答する割合が低く、2割以下だった。原爆投下をめぐる日米の見解の対立はなくなったわけではないが、被団協が追求し続けてきた核廃絶の理想と、その活動への敬意は、アメリカを含む世界にますます共有されている。
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コメンテータープロフィール
アメリカ政治・外交、国際関係論、平和研究。東京大学教養学部卒、同大大学院総合文化研究科で博士号取得(学術)。日本学術振興会特別研究員、早稲田大学助手、米国ハーバード大学、ジョンズホプキンズ大学研究員、関西外国語大学助教、高崎経済大学経済学部国際学科准教授を経て2022年より現職。著書に『戦争違法化運動の時代-「危機の20年」のアメリカ国際関係思想』(名古屋大学出版会、2014年)共訳・解説に『リベラリズムー失われた歴史と現在』(ヘレナ・ローゼンブラット著、青土社)。
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