解説ISEAS-ユソフ・イシャク研究所(シンガポール)がASEAN諸国のエリート層を中心に行なっている世論調査で、「米国と中国のいずれかを選ばなければならない場合、どちらと連携すべきか」を問うたところ、回答者の大多数が米国よりも中国を選んだ。こうした回答傾向は、調査を始めた2020年以来初めてだという。 その1つの要因が、中東パレスチナ自治区のガザでのイスラエルの軍事行動、それへのアメリカの支援であり、特にインドネシア、マレーシアといった国内にムスリムを多数抱えた国で、対米感情が悪化している。中東情勢が悪化する中で、アメリカがイスラエル支援の姿勢を今後も続ければ、対米感情はさらに悪化し、相対的にこの地域における中国の存在感を押し上げる可能性もある。
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コメンテータープロフィール
アメリカ政治・外交、国際関係論、平和研究。東京大学教養学部卒、同大大学院総合文化研究科で博士号取得(学術)。日本学術振興会特別研究員、早稲田大学助手、米国ハーバード大学、ジョンズホプキンズ大学研究員、関西外国語大学助教、高崎経済大学経済学部国際学科准教授を経て2022年より現職。著書に『戦争違法化運動の時代-「危機の20年」のアメリカ国際関係思想』(名古屋大学出版会、2014年)共訳・解説に『リベラリズムー失われた歴史と現在』(ヘレナ・ローゼンブラット著、青土社)。