見解4年前の最高裁の判断では、不妊化要件について「現時点では合憲」としつつ、社会状況の変化を踏まえ「憲法13条に違反する疑いがある」と指摘しています。 当事者が望んで手術を受けることの尊重は重要ですが、法律上の性別を変更するための「引換条件」にすることは、実質的に不妊化の強要になります。これは人権侵害と言わざるを得ません。 今月12日、静岡地裁浜松支部は、この要件について「意思に反して身体への侵襲を受けない自由」という人権を大きく制約しており「憲法13条に違反」と明示しています。最高裁も同様の判断を下してほしいと思います。 「トイレやお風呂」について取り沙汰されますが、法律上の性別と男女別施設の利用基準が一律で連動するわけではありません。静岡地裁浜松支部も、トイレやお風呂の議論が、不妊化要件の必要性を判断する上で、社会の変化を認めることをさまたげるものとは言えないと釘を刺しています。
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コメンテータープロフィール
愛知県名古屋市生まれ。政策や法制度を中心とした性的マイノリティに関する情報を発信する一般社団法人fair代表理事。ゲイであることをオープンにしながら、GQやHuffPost、現代ビジネス等で多様なジェンダー・セクシュアリティに関する記事を執筆。教育機関や企業、自治体等での研修・講演実績多数。著書に『あいつゲイだって - アウティングはなぜ問題なのか?』(柏書房)、共著『LGBTとハラスメント』(集英社新書)など