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前田恒彦

前田恒彦認証済み

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元特捜部主任検事

報告

解説検察審査会が裏金事件について「一般市民の感覚からすればきわめて高額」と指摘し、検察による独善的な不起訴判断に問題があることを世に示した意義は大きいでしょう。検察は再捜査を義務付けられます。 二度の不起訴で強制起訴もあり得る「起訴相当」議決ではなく、会計責任者に対する「不起訴不当」議決にとどまったことから、検察が再び不起訴にすれば、その段階で会計責任者に関する刑事手続は終わりです。 しかし、もともと検察は会計責任者について「嫌疑不十分」ではなく「起訴猶予」により不起訴としていました。「5年で1542万円」という不記載額を小さいと判断するなどしたためですが、検察審査会からこの判断基準にNGが突きつけられたわけですから、起訴に傾くことも考えられます。 一方で世耕氏本人と事務担当者については「不起訴相当」議決だったので、2人に対する刑事手続はこの議決限りで不起訴確定により終わりとなります。

同じ記事に対する他のコメンテーターコメント

  • 熊田安伸

    SlowNewsプロデューサー/報道実務家フォーラム理事

    補足東京地検特捜部の不起訴処分は不当だとして検察審査会に審査を申し立てたのは上脇博之教授です。教授による…続きを読む

コメンテータープロフィール

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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