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前田恒彦

前田恒彦認証済み

認証済み

元特捜部主任検事

報告

解説検察側・弁護側双方が精神鑑定医を証人として立てており、この女性にADHDの特性があるという点については両者で一致しているものの、それがどの程度犯行に影響を与えたのかについて見解が分かれている事案です。 検察側は子どもを殺すしかないという動機形成には影響を及ぼしていないなどとして懲役6年を求刑し、弁護側は孤立出産による心身のダメージでADHDによる衝動性が高まって状況判断ができなかったとして懲役3年が妥当だと主張していました。 裁判所の量刑は求刑から1年を差し引いた懲役5年でしたが、孤立出産の末に乳児を殺害し、遺体を遺棄した母親の事件の場合、懲役5年前後が量刑の相場であり、中には懲役3年・執行猶予5年といった例もあります。 なお、この事件では乳児の父親で女性と行動をともにしていた20代の男性も逮捕されましたが、「知らなかった」という弁解を覆す証拠がなく、不起訴になっています。

コメンテータープロフィール

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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