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前田恒彦

前田恒彦認証済み

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元特捜部主任検事

報告

解説元少年は弁護側の質問に対し、過去に高速道路で時速200キロから210キロを3回くらい、一般道でも170キロから180キロで5回から10回ほど走行したことがあると述べています。 スピード違反の常習性があったという意味では元少年に不利な話ですが、一方で弁護側は今回の194キロ走行について危険運転致死罪の成立要件である「制御困難な高速度」にはあたらないと主張しています。元少年の話は、過去にこれと同程度かそれ以上の高速走行を繰り返していたものの、事故に至ったことがないという弁解につながるわけです。 一方で検察側は「制御困難な高速度」に加え、右折車を妨害する目的で危険な速度で接近したという「妨害運転」にもあたるとして、二重の意味で危険運転致死罪が成立すると主張しています。 相手に急ブレーキを踏ませるぐらいしか事故を回避できないと分かっていたという事実を元少年に問い質しているのもそのためです。

コメンテータープロフィール

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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