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鵜飼秀徳

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ジャーナリスト、正覚寺住職、(一社)良いお寺研究会代表理事

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解説私は今春、対馬の観音寺を訪れた。観音寺のある地区は、50世帯ほどの小さな漁村。観音寺は無住である。駐在所もなく、集落は常にひっそりとしている。はっきり言えば、仏像の盗難はいとも簡単に、ということだったと推測できる。  犯人は、対馬南部にある神社でも、県指定文化財の大蔵経を盗んで、のちに捨てている。3つの寺社で窃盗を繰り返した輩は、対馬を離れて博多に入り、船で釜山港に戻ったとされる。  近年は島の過疎化が進み、1か寺あたりの檀家数がさらに減少している。ムラの高齢化と人口減少によって、監視の目が行き届かなくなり、寺宝の盗難を未然に防ぐことが難しくなっている。  韓国の最高裁にあたる大法院は2023年、最終的な所有権は観音寺にあると認定した。だが、仏像はいま、韓国政府の管理下にあると思われる。浮石寺が返還を了承しても、韓国政府が動かない限り、日本側への返還の実現性はみえてこない。

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同じ記事に対する他のコメンテーターコメント

  • 前田恒彦

    元特捜部主任検事

    解説この仏像は対馬市の観音寺から盗まれ、韓国警察が韓国人窃盗団から没収したものですが、韓国の浮石寺が倭寇…続きを読む

コメンテータープロフィール

鵜飼秀徳

ジャーナリスト、正覚寺住職、(一社)良いお寺研究会代表理事

京都市生まれ。新聞・経済誌記者などを経て、2018年に独立。正覚寺(京都市右京区)第33世住職。ジャーナリスト兼僧侶の立場で「宗教と社会」をテーマに取材、執筆、講演などを続ける。近年は企業と協働し「寺院再生を通じた地方創生」にも携わっている。著書に『寺院消滅』(日経BP)、『仏教抹殺』『仏教の大東亜戦争』(いずれも文春新書)、『ビジネスに活かす教養としての仏教』(PHP研究所)など多数。最新刊に『絶滅する「墓」 日本の知られざる弔い』(NHK出版新書)。一般社団法人「良いお寺研究会」代表理事、大正大学招聘教授、東京農業大学・佛教大学非常勤講師など。

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