見解日銀は市場参加者の予想通りに金融政策の据え置きを決定した。私は今回利上げはすべきであったと考える。もし今回もしくは1月という想定であったとしたら、今回のタイミングの方が利上げをしやすかったはずである。1月の会合はトランプ大統領就任直後ともなり、金融市場を含めて先行きの不透明感が強まり、日銀が動くことで神経質な展開となりかねない。利上げを急ぐ必要はないのであれば、やはりタイミングを重視すべきであった。今回は米長期金利の上昇もあり円安が進行している。日銀が利上げに慎重と再認識されると、円安が加速してくる可能性がある。トランプ氏の大統領就任を睨んで介入も困難となれば、過度な円安に対して日銀による政策修正が求められる可能性すらある。追い込まれて利上げすることにもなりかねないのではないかと思う。このあたり日銀総裁が会見でどうコメントするのかにも注目したい。
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コメンテータープロフィール
フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。