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今野晴貴

今野晴貴認証済み

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NPO法人POSSE代表。雇用・労働政策研究者。

報告

解説先の自民党総裁選や今回の衆院選の動向を見るに、記事で示されている日本の「絶対的貧困」、つまり生きるか死ぬかのレベルの貧困は争点にすらなっていない。後藤道夫氏の試算によれば、日本の人口の20%、2000万人以上が生活保護基準となる「最低生活費」を下回っている。国が定める唯一のナショナルミニマムである生活保護以下の生活をしている人々が、一つの国家に匹敵するほど大勢いるのだ。しかも、生活保護を支給されても生活ができないのが実態であり、酷暑でも扇風機をつけずに我慢し、1日1食安いせんべいを水に浸して食べている、という方もいた。この最低生活費に連動する形で最低賃金額が決められており、当然生活ができるはずもない。 選挙を通じて生活できる賃金や社会保障を求めていくことが必要だ。また他方で、市民自らが農地を運営したり、空き家を活用していくなど、自律的な生活圏を構築していくことも重要になっていくだろう。

コメンテータープロフィール

今野晴貴

NPO法人POSSE代表。雇用・労働政策研究者。

NPO法人「POSSE」代表。年間5000件以上の労働・生活相談に関わり、労働・福祉政策について研究・提言している。近著に『賃労働の系譜学 フォーディズムからデジタル封建制へ』(青土社)。その他に『ストライキ2.0』(集英社新書)、『ブラック企業』(文春新書)、『ブラックバイト』(岩波新書)、『生活保護』(ちくま新書)など多数。流行語大賞トップ10(「ブラック企業」)、大佛次郎論壇賞、日本労働社会学会奨励賞などを受賞。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。専門社会調査士。

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