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今野晴貴

今野晴貴

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NPO法人POSSE代表。雇用・労働政策研究者。

報告

見解医師や研修医の過労死が相次いでいる中で、働き方改革はかえってその隠蔽につながる恐れがある。増員せずに業務量を減らさない病院が多数あるため「隠れ残業」が膨大に増えており、その結果、これまで過労死と労災認定されていたものが、労働時間が隠されたことで認定されなくなってしまうおそれがあるのだ。 実際に、甲南医療センターで過労自死に追い込まれた医師は月200時間以上残業をしていたことが労基署の調査で明らかになっているが、病院側は「自己研鑽だった」と主張し過重労働を命じたことを否定している。今後はこれまで以上に労働者自ら過少申告に追い込まれる可能性が高い。 そもそも国や病院側は過去に起こった医師の過労死に対して真摯に取り組んでこなかった。過労死が起こっても責任を否定できる状況であれば、病院もきちんとした対応を取ろうとしないだろう。これまでの過労死事案での遺族への補償や再発防止を踏まえた対策が必要だ。

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  • 真野俊樹

    医師/中央大学大学院教授/多摩大学大学院MBA特任教授

    見解医師の働き方改革が始まって2ヶ月です。 病院によっては 様々な改革プラン をとっているところもありま…続きを読む

コメンテータープロフィール

今野晴貴

NPO法人POSSE代表。雇用・労働政策研究者。

NPO法人「POSSE」代表。年間5000件以上の労働・生活相談に関わり、労働・福祉政策について研究・提言している。近著に『賃労働の系譜学 フォーディズムからデジタル封建制へ』(青土社)。その他に『ストライキ2.0』(集英社新書)、『ブラック企業』(文春新書)、『ブラックバイト』(岩波新書)、『生活保護』(ちくま新書)など多数。流行語大賞トップ10(「ブラック企業」)、大佛次郎論壇賞、日本労働社会学会奨励賞などを受賞。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。専門社会調査士。

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