見解バイデン政権はイスラエルが大規模にラファ侵攻すれば米国は武器給与停止すると圧力をかけたが、ネタニヤフ政権に停戦を受け入れさせることはできなかった。ネタニヤフ首相はバイデン大統領が大統領選前にイスラエルに決定的に不利に動いて米国のユダヤ勢力を敵に回すはずがないと高をくくり、バイデン氏には打つ手がないのだろう。ネタニヤフ首相は停戦となれば国内で早期選挙の声やハマスの越境攻撃を防げなかった失態を問う声が出てくるから必死である。「ハマス壊滅」を掲げて、武器禁輸を避けて”限定的”ラファ攻撃を引き伸ばす戦術だろう。戦闘継続で米国内でバイデン政権への批判も続いて、トランプ氏が返り咲けば、対米関係は一気に改善すると考えているかもしれない。ラファはガザの中では反ハマス勢力が最も強い地域であり、ラファ検問を抑えて食料を止め、攻撃を加え続けて、反ハマスの動きが内側から出てくるの期待しているのかもしれない。
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コメンテータープロフィール
元朝日新聞記者。カイロ、エルサレム、バグダッドなどに駐在し、パレスチナ紛争、イラク戦争、「アラブの春」などを現地取材。中東報道で2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。2015年からフリーランス。フリーになってベイルートのパレスチナ難民キャンプに通って取材したパレスチナ人のヒューマンストーリーを「シャティーラの記憶 パレスチナ難民キャンプの70年」(岩波書店)として刊行。他に「中東の現場を歩く」(合同出版)、「『イスラム国』はテロの元凶ではない」(集英社新書)、「戦争・革命・テロの連鎖 中東危機を読む」(彩流社)など。◇連絡先:kawakami.yasunori2016@gmail.com
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