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川上泰徳

川上泰徳

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中東ジャーナリスト

報告

見解ネタニヤフ首相が「ラファの激しい戦闘は間もなく終了」というのは、レバノンのヒズボラとの本格的な紛争に備えなければならないためだ。イスラエル軍は7月中旬にレバノン南部への地上侵攻を検討しているという話が米国防総省の見方としてイスラエルメディアにも出ている。そんな時に、ネタニヤフ首相は軍の不信と反発を買いながらガザ攻撃を続けることはできないということだろう。軍報道官が「ハマスは壊滅不可能」と首相の言葉を否定する発言が出たばかりである。そもそもイスラエルがガザ攻撃を長引かせ、ガザで破壊と殺戮を続けていることが、ヒズボラとの紛争激化を引き起こしている。イスラエル軍が本当にレバノンに侵攻し、ヒズボラとの本格紛争になったら、短期間で終わるはずもない。ネタニヤフ首相は戦争を止めたら、極右政党が連立を離脱して、自身の政治生命も終わりということで、自国民、他国民を道連れに新たな戦争にはまり込もうとしている。

同じ記事に対する他のコメンテーターコメント

  • 鈴木一人

    東京大学教授/地経学研究所長

    解説イスラエルがラファでの戦闘を終えても、ハマスを殲滅させたということにはならない。つまり、イスラエルの…続きを読む

コメンテータープロフィール

元朝日新聞記者。カイロ、エルサレム、バグダッドなどに駐在し、パレスチナ紛争、イラク戦争、「アラブの春」などを現地取材。中東報道で2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。2015年からフリーランス。フリーになってベイルートのパレスチナ難民キャンプに通って取材したパレスチナ人のヒューマンストーリーを「シャティーラの記憶 パレスチナ難民キャンプの70年」(岩波書店)として刊行。他に「中東の現場を歩く」(合同出版)、「『イスラム国』はテロの元凶ではない」(集英社新書)、「戦争・革命・テロの連鎖 中東危機を読む」(彩流社)など。◇連絡先:kawakami.yasunori2016@gmail.com

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