見解イスラエル軍報道官がハマス壊滅は「達成不可能」と述べたことは、停戦を拒否し、ガザ攻撃を続けることで政治家として生き残ろうとするネタニヤフ首相に対する軍の不信感が露呈したのだろう。現実問題として軍事部門を有する政治組織であるハマスを壊滅できなかったし、今後もできないという軍事的限界が明らかになった。報道官はハマス壊滅ができないのは「ハマスは人々の心に根付いている思想」とこれまで繰り返し言われてきたことを都合よく拝借している。勿論、イスラエル軍はそのことは最初から分かっていたからこそ、この8カ月間、パレスチナ民衆への無差別攻撃し、3万7千人を殺害することで、民衆の「占領反対の思想」を挫き、ハマスから離反させようとし、ハマスの越境攻撃のために民衆が犠牲になると宣伝してきた。しかし、パレスチナの世論調査でもハマスに対する民衆の支持は逆に強くなっており、その戦略の失敗を認めたことになるだろう。
同じ記事に対する他のコメンテーターコメント
コメンテータープロフィール
元朝日新聞記者。カイロ、エルサレム、バグダッドなどに駐在し、パレスチナ紛争、イラク戦争、「アラブの春」などを現地取材。中東報道で2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。2015年からフリーランス。フリーになってベイルートのパレスチナ難民キャンプに通って取材したパレスチナ人のヒューマンストーリーを「シャティーラの記憶 パレスチナ難民キャンプの70年」(岩波書店)として刊行。他に「中東の現場を歩く」(合同出版)、「『イスラム国』はテロの元凶ではない」(集英社新書)、「戦争・革命・テロの連鎖 中東危機を読む」(彩流社)など。◇連絡先:kawakami.yasunori2016@gmail.com
川上泰徳の最近の記事
川上泰徳の最近のコメント
コメントランキング
- 1
NHK受信契約が4年で100万件減、不払いは倍増「テレビ離れがどう影響しているか答えるのが難しい」
読売新聞オンライン - 2
「女子トイレや婦人科に男の子を連れて来ないで」“男児ヘイト”に悩む男児ママたち
女子SPA! - 3
悠仁さま「東大合格」の逆風になりかねない宮内庁“3年前の痛恨ミス”…トンボ論文の信頼性に影響も【秋篠宮家の学校選び】
日刊ゲンダイDIGITAL - 4
「さすがに3位はダメ」無党派層の支持を集める石丸氏の猛追で苦境の蓮舫氏。必死の選挙戦も「小池氏の二番煎じ」野党関係者は「このまま国会に“再入学”は勘弁」
集英社オンライン - 5
「低所得者なのにディズニーに行こうとするなんて…」いつから夢の国は「格差社会の象徴」になったのか
All About